特報・独自 新型コロナの宣言解除も厳しい現状続く

少しずつ人通りが戻ってきた中心市街地(29日午後7時撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため全国に発令されていた緊急事態宣言解除からまもなく1週間。本県解除からも2週間が過ぎ、まちなかの人の流れが徐々に戻り始めている。阿武隈時報社では公共施設利用再開や各種支援制度が本格的に始まる6月を前に各業種事業所への3度目の聞き取り取材を行った。多くの業種で業績回復を期待する一方で「すぐに好転するとは思えない」、「まだまだ先が見えない」の声もあり厳しい現状も浮き彫りとなった。
 阿武隈時報社は25日から29日にかけて、深刻な経営打撃を受けている飲食業や宿泊業をはじめ、賃貸業、旅行業、スポーツジム、小売業など幅広い分野に現状を聞いた。
 飲食業は6月1日から営業再開する店もある中、休業継続やテイクアウトのみでしのぐ店も少なくない。営業中の店内は座席数を減らす、飛沫防止シートを設置するなどの対策を各店でとっている。
 緊急事態宣言中も時間短縮営業や弁当販売などを続けた北の酒膳(秋野雄祐店長)は「昼の弁当販売と夜の時短営業に多くの常連さんが来店してくれたおかげで乗り切れています。それでも、売り上げは平年の5割減で厳しいです。宣言解除後は少しずつお客さんも戻っていますが、まだまだ夜の遅い時間になるとぱったりと人の流れが途切れますね」と話した。
 人気焼き肉店の丸高精肉店+(プラス)は「休業中はワンコインのテイクアウト弁当を売り出し、約50件のお客さまに直接営業などして当店を知っていただくきっかけができました。6月から完全予約制でコースメニューを再開するので、お客様の来店に結びついてほしいですが」とし、状況が改善するまで継続を大切に営業していきたいと答えた。
 市独自の支援策として飲食業などに家賃補助金を支給し、商店主からは安どの声が聞かれた一方で、飲食店やスナックなどに店舗を貸す賃貸業者からは「(市の補助金が出ているが)世界的な緊急事態なので家賃の割引や前払いをしてもらった金額から何割かを返金することも考えている。支払いが厳しいとの声も聞かれるし、郡山などからは多くの閉店の情報もある。幸いなことに今のところ店子の閉店はないが、もしかするとの心配はいつもしている」と苦しい胸のうちを語った。
 明治時代から営業する宿泊・宴会業ホテル虎屋の萩原淳一支配人は「宿泊減も痛いが総会を含めた宴会の中止が最も痛いです。春の歓送迎会や総会と懇親会が軒並み無くなり、売り上げは平年比の75%減になるかもしれません。大人数の宴会再開は年内難しいとみています。3密を避け新しい生活様式に合わせるため、宴会場は最大席数を半分に減らすなど工夫をしています。今までのやり方から大きく変化する契機として考えて取り組むしかないですね」と話す。
 市内で旅行業を営む社長は「個人や団体旅行だけでなく、修学旅行や体験学習も含めて新型コロナ発症後は全ての営業がゼロになりました。先が見えない状況ですが、国が発表した国内旅行費用を補助する『GOGOキャンペーン』を多くのお客様に利用していただけるようプランを練っていくしかないですね」と答えた。
 6月1日からスポーツジムやバーなどへの県自粛要請が解除されるが、女性専用フィットネスクラブ、カーブスイオンタウン須賀川店は「店内の消毒や換気を徹底し、スタッフだけでなくお客様にもマスク着用をお願いしています。できるだけ店内でのおしゃべりは避けていただくようご理解いただきたいです」とした。
 公共交通の福島交通営業所長の谷川浩一所長は「路線バスは通常通り運行したが、休校中は人の移動が少なくなり、売り上げは落ち込んだ。今も高速バスなど運休・減便が続いている。国の補助を活用しながら、路線維持のために市町村と協力して取り組みたい」、利用客から安全面を心配する声があったため、車内の飛沫防止シート設置、次亜塩素酸水消毒など安全確保に努めている。
 市内の大型スーパー2店からは「日中のお客様の入りは変わらないが、夜8時を過ぎると急激に来店者が減ります。大型イベントの中止が相次ぐので、前年比で売り上げが下がる時期が出てくると思います。自粛期間中に酒類など売り上げが伸びましたが、これから外食の機会も増え下降に転じるかもしれません」と話し、店内の「3密」を避けるために今後も混雑しない時間帯などの案内やクリーンタイムによる除菌対策徹底を図るとした。
 緊急事態宣言解除で人の往来が本格的に戻ってくることを期待する一方で、ある飲食店経営者は解除後に東京や北九州市でクラスターが発生したことに危機感を募らせ、「なんとかこれまで国や市の補助制度を活用して、従業員の協力も得てやってきた。営業も再開してこれからといったところだが、万が一第2波・第3波がやってきた場合は、廃業も考えなくてはならないかもしれない。なんとかそこは避けたいところだが」と話した。店側の対策はもちろんだが、客側もマスク着用をはじめとした予防策徹底に理解と協力する必要性がこれまで以上に求められている。