特集 新型コロナ影響は多業種に波及

レジカウンターにビニールカーテンを設置したコンビニ

 須賀川市内での新型コロナウイルス発症第1例報告から約2週間。飲食・宿泊・観光業など幅広い産業に影響を及ぼしているが、阿武隈時報社では12日から15日にかけてさらに取材の範囲を広げ、各分野への聞き取りを行い、様々な形で影響が出ていることが分かった。生鮮食品などを販売する小売業に影響は少ない一方で、医療や葬祭業なども打撃を受け始めている。
 自身も個店を経営する野木彰須賀川社交料飲業組合長は、国が示した要請(夜の繁華街など利用自粛)以降、市内のスナックなどほぼ全てが営業休止したとし、「自粛要請に協力しているが、このままでは店を閉じる加盟店も少なくないかもしれない」と苦しい胸の内を話した。
 また、飲食店などに酒類を卸している内藤祥一さん(内藤酒店社長)は、「15日現在で市内外の取引先52店が休業または廃業し、国の対応の遅さに憤りを感じる。行政はもっと我々の声を聞いてほしい」と話す一方で、「社用車に『須賀川』の地名が入っているため、(感染者が出た場所として)、市外に行くたびに後ろめたさを感じることもある」とした。
 人が集まる会合の自粛を呼びかけたことで葬儀業にも影響が出ている。よしなり造花店は「お通夜や精進揚げなどで飲食が一切なくなった」、JAサービス夢みなみ総合葬祭部は「会葬車や搬送車の運行が無くなるなど葬儀も規模縮小され収益の大幅減が心配」と答えた。
 学校給食にパンを納めている岩崎哲久さん(タマキヤ社長)は「臨時休校が突然決まりパンが大量に残ってしまった。市内FMラジオの協力で処分は避けられたが、お客さんの減少が気がかり。独自に『ガンバローセール』を続けているが、影響が長期に渡ればうちも厳しい」と眉をひそめた。
 弁当販売業も対応をとっており、本家かまどや須賀川店は客足に大きな変化はみられないが「しばらくの間、お客様にご迷惑をおかけしますが、閉店時間を早めています」。
 病院も市民が外出を控えている影響か外来患者の減少が一部でみられる。公立岩瀬病院は「新型コロナの影響で首都圏などからの里帰り出産が自粛を呼びかけられ、今年度の分べん数は一時的に少なくなるかもしれない。思わぬ形での影響に戸惑っている」と話した。
 夜の人通りがぱったりとなくなったことでタクシーや運転代行など運送業でも影響は大きい。市内で営業するタクシー運転手(60代)は「とにかくお客さんが減り生活が大変。このままでは転職も考えないといけないがどうにも」と言葉を詰まらせた。
 外食が控えられた影響で小売業からは概ね好調の声が聞かれた。市内の大型スーパー2店からは「お客様の購買力自体は上がっているが、夜の来店者は減っている。パスタや即席めんなど入荷が不安定な商品もあり、マスク不足などご迷惑をかけています」の答えがあった。
 市内コンビニエンスストアでも、新型コロナ対策としてレジスターにビニールカーテンをかけ飛沫接触感染防止に努めるなどを始めた。店員からは「週によってお客さんの来店にも波があって不安定な感じがする。一日も早く落ち着いてほしい」との声が聞かれた。
 今回の取材でも多業種にわたり新型コロナによる経済への打撃が深刻なものであることが分かった。市内感染者数の報告は落ち着きをみせ始めているが、自粛行動のさらなる長期化を避けるためにも、引き続き大型連休中も油断せずマスク着用や「3密」をつくらないなど自衛策の継続が求められる。