震災から9年「記憶をつなぐつどい」

犠牲者に黙とうをささげる参列者

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から丸9年を迎える。須賀川市長沼地区の藤沼ダム決壊で死者7人、行方不明者1人が犠牲となった。8日に地区有志の「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい2020」(加藤和記委員長)は長沼滝地区の防災公園内で開かれ、遺族ら約90人が参列し、犠牲者に黙とうをささげ献花した。
 加藤実行委員長は「昨年の台風19号による水害で、大震災の藤沼湖決壊の記憶が昨日のことのように思い出されます。新型コロナウイルスの影響で多くの行事が中止されていますが、一回途切れると、記憶とともにつなげることは出来ないのではないかという思いから開催しました。大震災を経験していない人までつないでいくためには一人ひとりの心がなければいけない。二度とあのような事態が起こらないよう日頃の防災に努めたいと思います」とあいさつした。

あいさつする加藤委員長

 来賓の橋本克也市長、玄葉光一郎代議士、五十嵐伸市議会議長が「失ったものの大きさを感じ、未だに心が癒されていないが人が多くいます。思いを呼び覚ます機会を頂きありがたい思いです。昨年の台風19号被害、現在の新型コロナウイルスなど、日頃の備えが大切だと実感しています。災害の記憶を意識し、伝えるのが大切だと思っています」と追悼の言葉を述べた。
 遺族を代表して添田フミ子さんが献花台に花を手向けた。参列者たちは、公園内に設置された大震災と藤沼湖の記憶をつなぐ碑に献花し、犠牲者のめい福を祈った。目をつぶり言葉を送る人、涙をこらえる姿が見られた。
 藤沼湖決壊の被災状況や復興を後世に伝え、犠牲者が地域でともに生きた証を刻み、地域防災の拠点とするため慰霊碑建立を計画している藤沼湖決壊による慰霊碑建立委員会の柏村國博実行委員長が「慰霊碑建立の寄付が324件、290万円を超えました。来年まで寄付を募っています。また記憶をまとめた記録誌、ハザードマップなどを約3000部作り、滝地区住民や公民館、小中学校に寄付を予定しています。小さな子どもたちにも減災防災を学んでほしいと思います」と説明した。

献花し手を合わせめい福を祈る参列者

 慰霊碑は来年3月11日完成を目指して、滝地区防災公園内に建立する。全体イメージは長沼地域の高土山を表現し、風化させないこと、防災意識の大切さ、未来へ羽ばたく強い意志が込められている。完成後には除幕・追悼式を行い、記憶をつなぐ記録集伝承冊子などを編集する計画。そのための資金として約500万円が必要であり、建立賛同者から1口100円でも寄付を募る。
 長沼地域は震災により決壊したダムの貯水約150万㌧が簀ノ子川に流出し、向田地区から城影地区に流れ込み、住宅の全壊19戸、床上・床下浸水55戸、7人が死亡し、1人が行方不明になっている。