「東都名所図」が国重文追加指定

国重文「桜田馬場射御之図」原版

 須賀川市が所蔵する「銅版画東都名所図(二十五図)亜欧堂田善筆」のうち、「桜田馬場射御之図」と「今戸瓦焼之図」が両面に彫られた原版1枚が18日、国指定重要文化財に追加指定された。平成24年に指定された原版に加えて計5枚が国重要文化財となったことで、田善作品の美術史における重要性が一層高まるものと期待が高まる。
 18日に開かれた文化審議会文化財分科会の席上で国指定重要文化財指定が決まった。
 亜欧堂田善は須賀川に生まれ、白河藩主松平定信に見出され洋風画法や銅版画を研究し、江戸時代当時の腐食銅版画をより精緻な作品に発展させた。
 国重文指定を受けた「銅版画東都名所図(二十五図)」は田善を代表する作品であり、新吉原をはじめ江戸各所を生き生きと緻密に表現し、市立博物館などで公開展示されてきた。クリアファイルをはじめ関連商品も多数販売されている。
 今回指定を受けた原版1枚は両面に「桜田馬場射御之図」と「今戸瓦焼之図」が彫られたもの。大きさは縦10・6㌢、横15・4㌢。

国重文「今戸瓦焼之図」原版

 銅版画原版は文化年間に田善から弟子の八木屋半助に譲られ、明治時代になって一度散逸してしまったが、太田貞喜や内藤順耳ら地元の有識者によって改めて収集された。
 市は須賀川を代表する偉人の貴重な文化財として、平成15年に原版7点12作品を取得した。平成24年には「銅版画東都名所図(二十五図)」、「銅版画見本帖(十二図)」と原版が近世銅版画技法確立の過程を伺える資料として評価され、国指定重要文化財指定を受けた。
 今回追加指定された原版は平成28年に市内旧家市原家(市原徳子さんら)から市に寄贈されたもので、先に指定された原版4枚と同様に両面が版となっており、摩耗はあるものの各面ともに「東都名所図」の原版と認められた。
 国重文指定を受け橋本克也市長は「この追加指定により、郷里須賀川に蓄積された田善作品の美術史上における重要性が一層高まるとともに、先人たちが取り組んできた継続的な文化財保護活動の意義が改めて注目されることと期待しております」と、森合義衛教育長は「多くの人々によって守られてきた田善の作品群をしっかりと受け止め、活用することはもちろん、さらに質を高めて次世代へ引き継ぐため取り組んでまいります」とコメントを寄せている。
 国重文指定された原版は調査研究などのため5月まで文化庁が所有する。版画作品は市立博物館2階常設展で公開している。