震災から8年 藤沼湖の悲劇は忘れない

献花し犠牲者のめい福を祈る親子

 東日本大震災から8年を迎えるにあたり10日、藤沼ダム決壊で死者7人、行方不明者1人が犠牲となった須賀川市長沼地区の有志による「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい2019(加藤和記実行委員長)」は長沼北町地区防災公園で開かれ、遺族ら約80人が参列し、犠牲者に黙とうをささげ献花した。
 加藤実行委員長は「8年の間に多くの関係者の協力があり、復興を進めてこれたが、震災の記憶が薄れかかっているのかなと一抹の不安を抱えています。未だ歩みを進めず苦しんでいる遺族がいます。絶やすことなくつどいを継続し、一日でも早く歩み出せる環境づくりを進めていきます。震災の記憶を後世につないでいきましょう」とあいさつした。
 来賓の橋本克也市長、玄葉光一郎代議士、佐藤暸二市議会議長が「藤沼ダムや家屋などの再建は果たされたが、深い悲しみは8年経っても変わりません。被災者の人たちが前を向いて歩けるようになって復興が完了すると思います。奇跡のあじさいのようにがんばっていきましょう」と追悼の言葉を述べた。
 北町地区出身で保健師の上杉綾乃さん(24)=会津若松市在住=は、当時の状況や悲しみなどを説明し、「もう8年、まだ8年という気持ちを混在しています。震災を忘れず、風化させないことが大切です」と話した。当時は高校1年生で、母、父、兄、妹の5人家族で家屋が大規模半壊したが、みんな無事だった。自分ができることは何かと考え、大学の卒論で震災の経験を伝え、今は保健師として人の心と体の健康を支えている。
 参列者たちは、同公園内に設置された大震災と藤沼湖の記憶をつなぐ碑に献花し、犠牲者のめい福を祈った。遺族の中には終始目をつぶり祈る人、涙をこらえる姿が見られた。
 藤沼湖決壊の被災状況や復興を後世に伝え、犠牲者が地域でともに生きた証しを刻み、地域防災の拠点とするため慰霊碑建立を計画している藤沼湖決壊による慰霊碑建立委員会の柏村國博委員長が「皆さんで慰霊碑をつくろうと思ってもらえるよう、少額からの寄付を募っています。記憶をまとめた記録誌、ハザードマップを備えたパンフレットなども作り、防災に役立つ取り組みをしていきます」と説明した。
 慰霊碑は2021年3月11日完成を目指して滝地区防災公園内に建立する。完成後には除幕・追悼式を行い、記憶をつなぐ記録集伝承冊子などを編集する計画。自己資金として約500万円が必要であり、建立賛同者から一口100円でも寄付を募る。
 振り込み口座は、夢みなみ農業協同組合長沼支店、口座番号は0027393、口座名義は長沼区長内会会計鈴木博雅、口座の開設は6月頃に予定している。
 長沼地域は震災により決壊したダムの貯水約150万㌧が簀ノ子川に流出し、向田地区から城影地区に流れ込み、住宅の全壊19戸、床上・床下浸水55戸、7人が死亡し、未だ1人が行方不明となっている。