初冬の風物詩「牡丹焚火」

燃え盛る炎を囲む来場者たち

 須賀川の初冬を代表する風物詩「牡丹焚火(たきび)」は17日、市内外から多くの俳人や観光客らが参加して牡丹園中央広場で開かれた。静かに暮れゆく秋の夕暮れと舞い踊る火の粉に、来場者一人ひとりが大輪を咲かせた牡丹への感謝を込めて見つめた。
 牡丹焚火は大正期に牡丹園を管理し俳人でもあった栁沼翁が知人らを集めて始めたのがきっかけで、天寿を全うした牡丹の古木を火にくべる幻想的な光景に、当時親交のあった北原白秋や原石鼎らが多くの俳句作品を詠んだ。作家の吉川英治も、名作「宮本武蔵」風の巻で京都花町の吉野太夫が牡丹を火にくべる光景を登場させている。
 また昭和53年には、初冬の季語として俳句歳時記に掲載され、平成13年は環境省認定のかおり風景100選に選ばれるなど、須賀川の俳句文化を象徴する行事の一つとして長年親しまれる。
 火入れ式で橋本克也市長は「文化の香り高い牡丹焚火をぜひ楽しんでください」とあいさつし、前週開催した松明あかしも歳時記に選ばれてほしいとした。
 森川光郎桔槹吟社代表は自作の「須賀川に火まつり二つ冬が来る」を紹介し、紅葉が見頃の園内もぜひ楽しんでほしいと呼びかけた。
 橋本市長、森川代表、栁沼勝馬牡丹園保勝会理事長、牡丹焚火講演会講師の細谷喨々さん、参加者代表として最遠来者のイゴール・ルバシェフスキー会津大教授夫妻(ロシア)が古木を火にくべた。
 来場者の感謝が込められた炎は秋の夕空を焦がさんばかりに燃え盛り、火勢が落ち着くころ、青紫色の炎とともに炉の周りには牡丹焚火特有のかぐわしい香りが漂い、来場者らを楽しませた。
 また桔槹吟社主催の講演会と俳句会が産業会館で開かれた。講師の細谷喨々さんは、山形県出身で俳誌「一葦(いちい)」(島谷征良主宰)同人で、「いのちと俳句」をテーマに講演した。小児科医師としても活動し、看取った多くの子どもたちの想いや思い出をリュックに詰めて四国八十八カ所札所の歩き遍路などもした。