藤沼ダム試験湛水始まる

藤沼ダム

決壊事故犠牲者に黙とうを捧げる関係者

 東日本大震災で決壊した藤沼ダムは18日から試験湛水(たんすい)を始め、6年ぶりに貯水を再開した。平年通りの降水量であれば3月末までに満水となる見込みで、田植えなど農業用水として4月から供給を開始する。
 決壊前の藤沼ダムは太平洋戦争前後にわたり県が建設し、貯水150万㌧は下流域830㌶の農地に農業用水を供給してきた。キャンプ場や温泉施設など市内外から多くの観光客が集う憩いの場としても利用され、全国のため池100選にも選ばれた。防火用水としても利用されてきたが、東日本大震災により本堤が決壊し、濁流が下流域に甚大な物的・人的被害をもたらした。

藤沼ダム

手動ゲート始動のスイッチを押下

 平成24年7月から再建に向けて県ダム復旧委員会を発足し、復旧工事は翌25年10月から着工、震災の揺れにも耐えられる強度を持つ中心遮水型アースフィルダムとして再建、昨年秋に本堤の盛り立て工事が完了した。
 18日の湛水式は、ダムの水栓にあたる「土砂ばきゲート」を手動で閉じる作業となり、施行者で構成する藤沼湖周辺地域に係る災害復旧工事安全衛生連絡協議会の安全祈願式も併せて開かれた。
 石背国造神社宮司が神事を執り行い、関係者を代表して小野和彦県農林水産部長、橋本克也須賀川市長、被災者代表の森清道さん、橋本明江花川沿岸土地改良区理事長らが玉ぐしを捧げた。
 湛水式では県担当者がこれまでのダム再建までの工程を説明し、小野部長の湛水開始宣言に続いてゲート始動を指示するスイッチを押すと、本堤そばのゲートが手動でゆっくりと閉じられ、6年ぶりにダム貯水が始まった。過去10年における平均的な降水量であれば、3月末には満水位に到達する。
 湛水式に出席した森さんは、ダム再建まで様々な気持ちの葛藤があったと話しながらも「日本全国に誇れる安全・安心なダムとして再開してほしい」と話し、橋本改良区理事長は「これで水不足に悩まされることなく、安心してコメ作りに励むことができます」と安どの表情を浮かべた。
 再建された新たな藤沼ダムの貯水量は決壊前と同じ150万立法㍍。本堤は高さ31・4㍍で長さ149・2㍍、副堤は高さ18㍍、長さ86・8㍍あり、今月5日の復旧委員会で湛水試験開始が決定した。
 今後はダムや貯水池周辺に以上がないことを新たに設置した観測機器などにより確認しながら試験湛水を続け、貯水可能な最高水位まで水位を上昇させる。
 貯水や堤体、水位の状況などは新設した「藤沼ダム管理所」で24時間体制の監視を行い、江花川沿岸土地改良区事務局が長沼市民サービスセンターから移設して担当する。今年度中には市のホームページ内にダムのライブ映像を見られるよう準備を整える。
 試験で安全を最終確認した後で本堤上部や周辺道路の6月末ごろまでに舗装修復工事を終える。貯水利用者の稲刈りが終わる今年秋ごろまでに堤体をはじめとした安全最終確認を行い本格的な貯水を再開する。10月下旬ごろに竣工式を予定し、藤沼ダム関連工事が完了となる。