晩秋の風物詩「牡丹焚火」

牡丹焚火

長寿を全うした古木牡丹を炊く風物詩の 「牡丹焚火」

 長寿を全うした古木牡丹の枯れ枝をくべる須賀川の晩秋を代表する風物詩「牡丹焚火(たきび)」は19日夕、市民や県外から多くの観光客が足を運び催され、大輪の花への感謝を込めて静かに手を合わせる姿などが見られた。
 大正期に牡丹園を管理していた柳沼翁が知人の俳人を招いたことがきっかけで、交流のあった作家吉川英治が須賀川の牡丹焚火をイメージし、著書「宮本武蔵」第4巻で武蔵の無事な帰還を願い遊女が牡丹を火にくべる一幕が登場する。
 平成13年には炎から立ち上るかぐわしい独特の香りに包まれた光景が、環境省が選らぶ「かおり風景百選」にも選ばれ、冬の季語として歳時記に掲載されていることもあり、毎年県外からも多くの俳句愛好者が参加している。
 今年は直前まで雨が降り続くあいにくの天候となったが、100人を超える来場者が炉を囲んだ。
 はじめに橋本克也市長が牡丹焚火の由来や松明あかしなどを紹介し、「ぜひ今日は五感全てで牡丹焚火を味わってください。四季を通して魅力ある牡丹園をぜひ楽しみにご来場ください」とあいさつした。
 森川光郎桔槹吟社代表は宮本武蔵の一説と少年時代に牡丹園に来園した吉川英治との思い出を語り、「今日参加した皆さんは、ぜひ代表句を作る覚悟で牡丹焚火を楽しんでください」と来場者の創作意欲をかき立てた。
 火入れは橋本市長、森川代表、柳沼勝馬牡丹園保勝会理事長のほか、ゲストとして東京都とオーストラリアからの来場者らが行った。
 序盤は立ち上る炎と火の粉が舞う夜空とのコントラストが好評を集め、後半は徐々に青紫へと色を変える炎と独特の香りとが来場者の感動を呼んでいた。
 また同日は桔梗吟社が産業会館を会場に、俳人の仁平勝さんによる講演会「反個性の文学」を、牡丹焚火終了後の午後6時からは俳句会を催し、焚火を題材にした俳句作品が多数発表された。